<浦島太郎の残し文>
”極”これを、きまりと読むようでございましてな・・・。へエー、湯にはいるのに、キマリがあるのかと思われる方もございますでしょうがな、むかし、江戸では、みんな、このキマリを守って、銭湯に行っていたようでございましてな、 これを守りさえすれば、湯もよごれず気分よく、お互いに、さっぱりした気持ちでな、お湯にはいることができましてな、まことに結構な習慣で、ございましてな、 まず、お酒ですな、これを飲んで、銭湯に行ってはいけないとうことになっておりましてな、 よっぱらって、なかでころびでもすれば、自分が、いたいだけでなく、人さまにも、迷惑をかけるし、酒くさい息がかかると、湯の気分が悪くなるというのでな、いけないことになっておりましてな、 つぎが、タバコですな、くわえぎせるで、湯に行くな、といわれておりましてな、この読者には、そんな方は、いらっしゃらないと思いますがな、お若い方でな、流し場まで、タバコをくわえて、はいってこられてな、湯に飛びこむ直前にですな、これをポィとタイルの流しにおすてになる方がございますが、ああいうことは、江戸ッ子は、しなかったようでございましてな・・・。 浴室で、タバコを吸うということは、実に、気分の悪いことでございましてな・・・。つづく